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「分析を、結果論にしない。」
行政書士試験の分析といえば、本試験が終わってから、その年の問題や難易度を振り返るもの。そんな印象があるかもしれません。
でも、過去の本試験を分析することで、これから受ける試験に生かせることもあります。
どのような問題が出題され、どこで得点を積み上げられるのか。そして、限られた3時間をどう使えばよいのか。
この読本では、過去の本試験を手がかりに、今ある知識で、あと1問を取るための考え方をお伝えします。
この読本でわかること
過去5年間の行政書士試験を独自に分析し、本試験で得点するために知っておきたいことをまとめました。
❶ 難しい問題と易しい問題は、どのように配置されているのか
❷ 行政法や民法など、科目ごとの難易度はどう変わるのか
❸ 難問や長文問題に出会ったとき、どう判断すればよいのか
❹ 今ある知識を、一問でも多く得点に変えるためには何が必要か
試験を知れば、得点が変わる。
CHAPTER 01 / 04
行政書士試験は、どんな試験なのか
行政書士試験は、絶対評価の試験です。
法令等で122点以上、基礎知識で24点以上、そして全体で180点以上。この3つの基準を満たせば合格となります。
受験生の多くは「180点を取れば合格できる」ということを知っています。
しかし、その180点を目指すための試験問題が、どのように構成されているかまで考えたことはあるでしょうか。
普段の学習は、民法、行政法、憲法と科目ごとに進めます。しかし、本試験では、それらが一つの試験として組み合わされています。
なぜ、合格率は比較的安定しているのか
毎年異なる問題が出題され、合格基準は固定されている。それなのに、なぜ近年の合格率は比較的一定の範囲で推移しているのでしょうか。
ここで、試験委員の立場から考えてみます。
5肢択一式では、過去に出題された論点や判断の視点、正答状況などを参考にして、問題の難易度をある程度見積もることができると考えられます。
そして、易しい問題と難しい問題を組み合わせるだけでなく、それらをどの科目に配置するかによって、試験全体の難易度も変わるはずです。
そこで、りす塾では次の仮説を立てました。
行政書士試験では、問題の難易度と科目ごとの配置を調整することによって、試験全体の難易度を整え、結果として合格率を一定の範囲に保っているのではないか。
この仮説を、過去5年間の本試験データから検証してみます。

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過去5年間のデータを見ると、5肢択一式40 問の難易度構成は、年度によって異なっています。
ただし、ここで注目したいのは、令和4年度と令和7年度です。
両年度の難易度構成は、Aランク17問、Bランク14問、Cランク9問と、まったく同じになっています。平均正答率も60.0%と60.1%で、ほとんど差がありません。
ところが、科目ごとに見ると、その内訳は大きく異なっています。
同じ難易度構成の40問でも、どの科目に易しい問題が置かれているかによって、受験生の感じる難しさは変わるのではないでしょうか。
そこで、この2年間を詳しく比較してみます。

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この比較から見えてくるのは、試験全体の難易度と、科目ごとの難易度は必ずしも同じ動きをしないということです。
易しい問題が多く配置される科目もあれば、難しい問題が集中する科目もあります。それでも、試験全体として見れば、難易度の構成が似通った年度が存在しています。
こうした結果は、試験委員が問題の難易度だけでなく、科目ごとの配置も考慮しているのではないか、というりす塾の仮説を考える手がかりになります。ただし、データだけで試験委員の意図まで断定することはできません。
そして、ここから受験生に伝えたいことがあります。
ある科目が難しかったからといって、試験全体が難しいとは限らない。
本試験では、難しい問題に出会うこともあるでしょう。しかし、その先には得点できる問題が配置されているかもしれません。
一つの科目や一つの問題の難しさに引きずられず、60問全体を見ながら、取れる得点を積み重ねていく。
これが、過去の本試験分析から考えておきたい、最初の得点行動です。
COLUMN 01
試験委員会は、年間何回開かれている?
試験委員会
70回
試験結果難易度評価委員会
3回
試験委員会では、試験問題の作成や答案採点が行われています。また、試験結果難易度評価委員会では、試験科目ごとの年度間の難易度評価などが審議されています。
問題の作成だけでなく、試験結果の難易度を評価する仕組みも設けられているのです。
※開催回数は令和7年度。試験委員会の70回には部会・臨時会議を含みます。
出典:行政書士試験研究センター「令和7年度事業報告書」
過去の本試験を分析すると、問題の難しさだけでなく、その配置や科目ごとの難易度にも、年度によって異なる特徴が見えてきます。
難しい問題が続くこともあれば、その直後に易しい問題が現れることもあります。また、問題文の長さが、そのまま問題の難しさを表すわけでもありません。
ここからは、過去5年間の本試験を7つの視点から分析し、本試験で得点するために知っておきたい特徴を確認していきます。
01|難問は、どこに現れるのか
行政書士試験では、難しい問題が出題されること自体は珍しくありません。しかし、その難しい問題が均等に配置されているわけではありません。
ここで大切なのは、問題の難しさと、問題が出題される順番を分けて考えることです。
受験生は、目の前の問題を一問ずつ解いていきます。そのため、難しい問題が続くと、試験全体が難しく感じられることがあります。
では、過去の本試験では、実際にどのような難易度の並び方をしていたのでしょうか。
まずは、過去5年間の法令5肢択一式40問を、問題番号順に並べてみます。

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このマップを見ると、Cランクの難しい問題は、特定の場所だけに集中しているわけではないことが分かります。
難しい問題が続くところもあります。しかし、その後にAランクの問題が続くところもあります。
難しい問題が続いていることと、その先の問題まで難しいことは、別の話なのです。
では、実際の本試験で、どのような並び方があったのか。具体的な例を見てみましょう。
具体例① 令和5年度|科目が変われば、難易度も変わる
令和5年度の憲法(問3〜7)は、5問中4問がCランクでした。ここまでの問題だけを見れば、かなり難しい試験だと感じても不思議ではありません。
しかし、続く行政法(問8〜16)は、9問中7問がAランクです。憲法で苦戦しても、行政法では十分に得点を積み重ねられる構成になっていました。
一つの科目の難しさで、その先の問題まで判断しないことが大切です。

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具体例② 令和4年度|難問の直後に、得点機会がある

令和4年度の問24は、推定正答率39%のCランクでした。しかし、その直後の問25・26は、どちらも92%のAランクです。
次の問25・26には、難易度が大きく異なる問題が配置されていたことになります。
難しい問題を解けなかったとしても、そこで時間を使い続ける必要はありません。次の問題に進むことで、得点の機会をつかめる場合があります。
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具体例③ 令和5年度|難問が続いても、流れは変わる
令和5年度の問24・25は、いずれもCランクでした。2問続けて難しい問題に出会うと、その後も難問が続くように感じてしまうかもしれません。
ところが、問26はBランク、問27 ・28はAランクです。C・Cと続いた後に、B・A・Aへと難易度が変化しています。
目の前の問題が難しくても、次に何が待っているかは分かりません。難問で立ち止まらず、得点できる問題を探して進むことが大切です。

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この3つの例から分かるのは、目の前の問題の難しさだけでは、その先の問題の難易度は分からないということです。
難しい問題の直後に易しい問題が現れることもあれば、科目が切り替わることで難易度が大きく変わることもあります。
本試験では、難しい問題に出会ったときほど、そこで立ち止まりすぎないことが大切です。
解けない問題に時間を使い続けるより、解ける問題に時間を使う。
限られた3時間の中で得点を積み上げるためには、こうした判断も必要になります。
02|行政法と民法、難易度はどう変わる?
行政法と民法は、法令科目の中でも配点が大きく、本試験の手応えに強く影響する科目です。
だからこそ、多くの受験生は、この二科目の出来で試験全体を判断しがちです。
しかし、過去5年間の平均正答率を見ると、行政法と民法の難易度は、必ずしも同じ動きをしていません。
行政法が取りやすい年度もあれば、民法が取りやすい年度もあります。逆に、行政法で苦戦しやすい年に、民法で持ち直せることもあります。
たとえば令和5年度は、行政法の難易度が上がった一方で、民法は比較的取り組みやすい構成でした。
反対に令和7年度は、行政法は得点しやすい一方で、民法は厳しめでした。
この二科目は、いつも同じ方向に動くわけではない。ここが大切なポイントです。

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大切なのは、ある一科目の手応えだけで、本試験全体の難しさを判断しないことです。
行政法で思うように得点できなくても、その後の民法で取り返せる可能性があります。反対に、行政法が易しく感じられたとしても、民法では慎重な判断が必要になるかもしれません。
科目が変われば、気持ちも切り替える。
本試験では、前の科目の出来に引きずられず、目の前の問題で取れる得点を積み重ねていくことが大切です。
03|問題文が長いと、難しい問題なのか?
本試験で長い問題文に出会うと、それだけで難しそうだと感じることがあります。
しかし、問題文の長さと、問題の難しさは必ずしも一致しません。
過去の本試験を調べると、800字を超える長文問題であっても、多くの受験生が正答している問題があります。
問題文が長いことと、正解にたどり着くことが難しいかどうかは、別の話なのです。
実際の問題を見てみましょう。

この表に並んでいる問題は、いずれも長い問題文でありながら、推定正答率が70%以上の問題です。
もちろん、長文問題のすべてが易しいわけではありません。しかし、文章が長いという理由だけで、難問だと決めつける必要はないということです。
長い問題文でも、問われている法律上の判断は、基本的な知識から導けることがあります。
本試験では、問題文の見た目に圧倒されず、まず何が問われているのかを確認することが大切です。
長いから後回しにするのではなく、何を判断すべき問題なのかを見る。
その意識が、取れるはずの得点を取りこぼさないことにつながります。
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04|商法・会社法は、どこまで得点を期待できるのか?
商法・会社法は、本試験で5問、20点が配点されています。
20点という配点は決して小さくありません。しかし、実際にはどの程度の難易度の問題が出題されているのでしょうか。
過去5年間・全25問を、りす塾の独自推定正答率をもとにA・B・Cランクに分類してみました。

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商法・会社法|過去10年間の正解番号の出現回数
過去5年間の商法・会社法では、Aランクの問題が一度もなく、25問中16問がCランクでした。
この数字を見ると、商法・会社法は、最初から難しい問題が多い科目だと考えておくことが大切です。
だからといって、すべての問題を諦める必要はありません。
分かる選択肢から判断し、確信の持てない選択肢には△も使いながら、解答を絞り込んでいく。
すべての選択肢を理解できなくても、正解に近づくことはできます。
そして、もう一つ大切なのが時間配分です。
難しい問題に時間を使い続けることで、ほかの科目の得点機会を失ってしまっては意味がありません。
商法・会社法で無理に満点を目指すのではなく、試験全体で合格点を作る。
その視点を持って、本試験に臨みたいところです。
05|多肢選択式の難易度は、どれくらい変わる?
多肢選択式は、3問・計12空欄で構成され、1空欄2点、合計24点が配点されています。
24点という配点は決して小さくありません。しかし、多肢選択式の難易度も、年度によって異なっています。
過去5年間のデータを見ると、平均正答率が最も低かった令和6年度は46.8%、最も高かった令和7年度は65.4%でした。
その差は18.6ポイント。まずは、5年間の平均正答率を比較してみましょう。

令和6年度と令和7年度の平均正答率には18.6ポイントの差があります。しかし、これを24点満点の得点に換算すると、約4.5点の差になります。
空欄数で考えれば、およそ2穴分の違いです。
もちろん、合否を争う本試験では、この4点程度の差も決して小さくありません。ただ、多肢選択式の出来だけで試験全体の結果が決まるわけではありません。
多肢選択式が難しくても、そこで試験を諦めない。
法令択一式や基礎知識も含めて、最後まで取れる得点を積み重ねていくことが大切です。
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06|憲法5問、人権と統治の出題割合は?
憲法は、本試験で5問・20点が配点されています。 その出題の中心は人権と統治ですが、両分野の出題割合は毎年同じではありません。 過去5年間・全25問について、各問題の出題テーマを人権・統治・その他に分類し、年度ごとの構成を比較してみました。

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過去5年間・全25問では、人権13問(52%)、統治11問(44%)、その他1問(4%)でした。
5年間の合計では、人権と統治がほぼ半分ずつ。 ただし、年度ごとの構成は異なり、人権が3問の年もあれば、統治が3問の年もあります。
つまり、憲法は毎年5問でも、問われる分野の組み合わせは同じではないということです。
本試験では、得意な分野もあれば、判断に迷う分野もあるでしょう。大切なのは、5問すべてを完璧に解こうとすることではありません。
これまで身につけた知識を生かせる問題で、確実に得点すること。
憲法の20点も、試験全体で180点を作るための大切な一部です。
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07|基礎知識14問、6問・24点をどう確保する?
基礎知識は14問・56点。そのうち6問以上、24点を得点することが合格基準の一つです。
令和6年度から、従来の「一般知識等」は「基礎知識」へと名称が変わり、行政書士法等の諸法令が出題分野として明記されました。
この変更により、直近2年間では、諸法令2問・個人情報保護法1問・文章理解3問という構成が見られます。
この6問に着目すると、基礎知識14問の見方が少し変わってきます。

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令和6・7年度は、諸法令2問、個人情報保護法1問、文章理解3問の合計6問が出題されました。
この6問すべてに正解すれば、基準点となる24点に届きます。
もちろん、6問すべてに正解する必要はありません。例えば、この6問から4問、残り8問から2問正解すれば、基準点を確保できます。
基礎知識は、14問すべての正解を目指す試験ではありません。
これまで学んできた知識と読解力を使い、14問の中から6問を得点する。
その視点を持って、本試験の基礎知識14問に取り組みましょう。
過去の本試験を分析すると、難しい問題がどこに現れるか、どの科目が難しくなるか、そしてどこに得点の機会があるかは、年度によって異なることが分かります。
難しい問題が続くこともあります。長い問題文や、見慣れない出題形式に出会うこともあるでしょう。
しかし、難しいと感じた問題が、そのまま得点できない問題とは限りません。
そして、一つの問題が解けなかったからといって、その後の問題まで解けないわけではありません。
本試験の3時間には、難易度も形式も異なる問題が並んでいます。大切なのは、目の前の一問だけで試験全体を判断しないことです。
過去の本試験を知ることは、次に何が出るかを予想するためではありません。
難しい問題に出会ったときも、そこで立ち止まりすぎず、自分が得点できる問題を探していく。その判断を、本試験前から準備しておくためです。
では、これまで学んできた知識を、どうすれば実際の得点につなげられるのでしょうか。
COLUMN 02
知っていた!?基礎法学|問題1に共通すること
行政書士試験の最初の問題、問題1(基礎法学)
実は、平成29年度から令和7年度まで、9年連続で著作物からの引用文を用いた問題が出題されています。
今年の本試験の最初に、見慣れない文章が登場するかもしれません。 そんなときも、文章の内容を落ち着いて読み取り、何が問われているのかを考えてみましょう。
CHAPTER 03 / 04
得点できる問題を、どう得点に変えるか
ここまで、行政書士試験の仕組みと、過去の本試験に見られる特徴を分析してきました。
では、その分析を、本試験の3時間でどのように生かせばよいのでしょうか。
本試験では、知っていることを問われても、必ず正解できるとは限りません。判断に迷ったり、時間を使いすぎたりして、得点の機会を逃すこともあります。
大切なのは、知識を持っていることだけではありません。
持っている知識を、正解という得点に変えること。
ここからは、そのために本試験で実践したい解答の工夫を考えていきます。
200肢すべてを、〇か×で判断できますか?
行政書士試験の法令5肢択一式は40問。選択肢は全部で200肢あります。
行政書士試験は、すべての問題に正解しなければならない試験ではありません。分からない問題や、判断できない選択肢があることも想定しておくべき試験です。
それなのに、200肢すべてを〇か×のどちらかで判断しようとするのは、無理があります。
根拠をもって正しい、誤っていると断言できる選択肢もあれば、正誤の方向は考えられても、確信を持てない選択肢もあります。そして、どうしても判断できない選択肢もあるでしょう。
分からないものを、無理に〇か×へ振り分ける必要はありません。
判断できないなら△。正しいと思うけれど断言できないなら△〇。誤りと思うけれど断言できないなら△×。
こうした判断の違いを問題冊子に残すために使うのが、りす塾の「りす記号」です。

りす記号は、選択肢の正誤だけでなく、自分がどこまで判断できたのかを問題冊子に残すための記号です。
〇〇と××は、明確な根拠をもって断言できる判断。一方、△〇と△×は、正誤の方向は考えられても、断言まではできない判断です。そして△は、判断できないことを示します。
ここで大切なのは、分からないことを、分からないまま記録できるという点です。
無理に〇か×を付けなくてもよい。正しいと思うけれど自信がないなら△〇、誤りと思うけれど自信がないなら△×でよいのです。
問題冊子は、自分がどこまで分かり、どこで迷ったのかを残す場所です。
その判断の記録が、後から選択肢を見直すときにも役立ちます。
解答に、温度差をつける。
5肢択一式の問題を解くとき、最初に読んだ選択肢を「正しい」と判断したとします。
しかし、本当は少し迷いながら〇を付けたのかもしれません。
このとき、一度付けた〇が、その後の判断に影響することがあります。
「肢1が正しいはずだ」と考えると、残りの選択肢を、誤りであることを確認するように読んでしまうのです。
これに対して、りす記号では、正しいと思っても断言できない選択肢には△〇を付けます。
正しいと断言したのではなく、正しい可能性があるという判断を、そのまま残せるのです。
最初の選択肢に引っ張られず、残りの選択肢も一つひとつ検討する。そのために、判断の違いを記録しておくことが役立ちます。
りす記号の効果①|最初の判断に引っ張られにくくなる

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「正しいものを選べ」という問題で、5つの選択肢すべてに✕を付けてしまったことはありませんか。
正しいものを選ぶ問題なのに、正しい選択肢が見つからない。
こうなると、もう一度5肢すべてを読み直さなければなりません。
しかし、同じ✕でも、明確な根拠をもって誤りと断言した✕と、誤りだと思うけれど断言できない✕があります。
りす記号なら、前者を✕✕、後者を△✕として区別できます。
例えば、図のように肢1・3・4が✕✕、肢2・5が△✕だったとします。
この場合、正しい可能性が残っているのは、肢2と肢5です。
最初から5肢すべてを読み直す必要はありません。まずは△✕を付けた2肢を再検討すればよいのです。
見直しの対象を5肢から2肢に絞れる。
りす記号は、判断の迷いを残すだけでなく、本試験の限られた時間を有効に使うためにも役立ちます。
りす記号の効果②|見直すべき選択肢が分かる
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本試験で失点するのは、知識が足りなかったときだけではありません。
正しい知識を持っていても、最初の判断に引っ張られてしまったり、迷った選択肢をうまく見直せなかったりして、正解を逃すことがあります。
知っているのに、得点できない。
りす塾では、こうした失点を「サイレントミス」と呼んでいます。
りす記号の効果は、ここにあります。
最初の判断に引っ張られにくくなること。そして、見直すべき選択肢が分かること。
どちらも、新しい法律知識を身につける方法ではありません。すでに持っている知識を、正解につなげるための工夫です。
行政書士試験の法令5肢択一式は、1問4点。
判断の仕方を工夫することで、取りこぼしかけた1問を正解できれば4点、2問なら8点になります。
本試験では、知っていることを、確実に得点へ変えていく。
りす記号は、そのための道具なのです。
知っているのに得点できない。「サイレントミス」
民法の5肢択一式には、柱書に具体的な事例が示され、その事例をもとに5つの選択肢を判断する問題があります。
こうした問題では、選択肢を読む前に、柱書の法律関係を整理しておくことが大切です。
登場人物が増え、法律関係が複雑になるほど、頭の中だけで整理するのは難しくなります。選択肢を読むたびに柱書へ戻っていては、時間も集中力も失われてしまいます。
そこで役立つのが、問題冊子の余白に、法律関係を簡単な図として残しておくことです。
民法の事例問題は、柱書を図解する。

この事例では、AがBの代理人と称してCと売買契約をしています。しかし、BはAに代理権を与えていません。
図では、BからAへの点線の矢印で代理権がないことを示し、AからCへの矢印の上に「S」と書いて売買契約を表しています。
これだけで、誰が本人で、誰が無権代理人で、誰が相手方なのかを確認できます。
あとは、この図をもとに、本人による追認、相手方の取消し、無権代理人の責任など、各選択肢で問われる法律問題を検討します。
本試験では、きれいな図は不要です。名前を配置し、線や矢印を数本引くだけで十分です。
大切なのは、一度整理した法律関係を、5つの選択肢の判断に繰り返し使えること。
図解は、その後の判断にかかる時間と負担を減らすためのものです。
ここまで分析してきたように、本試験ではCランクの難問がさまざまな場所に現れます。十分に勉強してきたテーマでも同じです。
得意な分野だからといって、必ず易しい問題が出るわけではありません。基本的なテーマでも、選択肢の組み合わせによって難問になることがあります。
だからこそ、「これだけ勉強した分野なのだから、絶対に解かなければ」と、一問にこだわりすぎないことが大切です。
本試験は、300点満点で原則180点以上を目指す絶対評価の試験です。全問正解する必要はありません。難問に時間を使い続ければ、その先にある得点できる問題のための時間が減ってしまいます。
飛ばすことは、諦めることではありません。
今は解けないと判断した問題をいったん離れ、取れる問題を先に得点する。時間が残れば、戻って考えればよいのです。
本試験で大切なのは、目の前の一問に勝つことではありません。
限られた3時間の中で、自分が持っている知識と判断力を、一問でも多く得点に変えることです。
解けない問題は、飛ばしていい。

本試験では、点取り屋になりましょう。
ここでいう「点取り屋」とは、難しい問題を次々と解ける人でも、周りの受験生より多くの問題を解く人でもありません。
自分が持っている知識、判断力、そして限られた時間を、一問でも多く答案用紙の得点へ変えられる人のことです。
問題冊子には、自分が分かったこと、迷ったこと、判断できなかったことを正直に残しておく。それを手がかりに、最後まで得点につながる判断を積み重ねていきます。
そして、答案用紙は丁寧に扱う。マークの塗り間違いや問題番号のずれ、転記ミスによって、取れるはずだった得点を失わないことも大切です。
問題冊子では正直に。答案用紙では丁寧に。
本試験の3時間は、誰かと競う時間ではありません。目の前の試験と向き合い、自分自身と向き合う時間です。
今まで積み上げてきたものを、一問でも多く得点につなげていきましょう。
本試験では、点取り屋になろう。
本試験では、点取り屋になろう。

CHAPTER 04 / 04
最後に|この分析読本で伝えたいこと
ここまで、過去の行政書士試験をさまざまな角度から分析してきました。しかし、この読本で本当に伝えたかったのは、過去の試験が難しかったか、易しかったかということではありません。
本試験には、難しい問題も易しい問題もある。そして、その配置は毎年異なる。 まず、このことを知っておいてほしいのです。
難しい問題が続いたからといって、試験全体が難しいとは限りません。問題文が長いからといって、正答率が低いとも限りません。目の前の一問だけで、本試験全体を判断しないことです。
過去の本試験を分析して見えてきたのは、問題の難しさだけではありません。難問の先に得点の機会があること、そして、同じ知識を持っていても、判断の仕方によって得点が変わる可能性があるということです。
本試験前の今、必要なのは、必ずしも新しい知識を増やすことだけではありません。
これまで学習してきた知識を、どうすれば本試験で使い切れるのか。そのために、試験の特徴を知り、自分の判断の仕方を見直し、できる準備をしておくことにも意味があります。
本試験が終わってから「あの問題は解けたはずなのに」と振り返るのではなく、試験を受ける前に、その失点を防ぐ方法を考えておく。
それが、りす塾がこの分析読本を制作した理由です。
分析を、結果論にしない。
試験を知れば、得点が変わる。
これまで積み重ねてきた学習を、最後の1点まで得点につなげてください。
2026年11月8日(日)の行政書士試験で、この「本試験前分析読本」が、皆さんの判断と行動を支える一助となれば幸いです。
りす塾 岡 憲彦